研究概要 |
Tumor Dormancy(腫瘍の休止状態)を解明するための動物モデルを開発し,in vivoにおけるDormantな状態にある腫瘍を制御する因子についての研究を進める目的で以下のとおり実施した. 1.Mouse Melanoma細胞B16F10の亜株であるB16F1Od細胞100万個を100匹のC57マウス背部皮下に移植し、1週間後、増殖した皮下腫瘍を切除した。10匹のマウスは切除中の出血および麻酔の為に死亡したさらに30匹のマウスは,切除後2週間以内に局所再発で死亡した.残り60匹のマウスは3ケ月間生存した.生存したマウスより肺を摘出し、ホルマリン固定後,H-E染色を行い顕微鏡下で観察したところ、すべてのマウスの肺に腫瘍の微小転移が認められた。そこで切除皮下腫瘍を増殖型腫瘍とし、肺へ微小転移した腫瘍を休止型腫瘍と命名し、免疫組織化学的に比較検討した。 2.ProliferationのマーカーとしてPCNA抗体を用いた免疫染色を,またapoptosisのマーカーとしてTUNEL染色を行った.その後,それぞれ10箇所における陽性細胞数を数えその平均を算出した.その結果,増殖型腫瘍では、腫瘍細胞のほとんどがPCNA陽性を示したが、休止型腫瘍では増殖型腫瘍に比べてアポトーシス陽性細胞数は有意に上昇していた。 3.休止型腫瘍と増殖型腫瘍の血管に着目し,VEGFやFGF-2などの血管新生因子の発現についてさらに検討を進めた.VEGF,FGF-2,EGF,TGF-alpha,MMP-2は両腫瘍で差は認めなかったがMMP-9発現は増殖型腫瘍で有意に増加していた.
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