研究概要 |
現在われわれは、ヒト口腔扁平上皮腫瘍(舌癌・歯肉癌・頬粘膜癌・白板症など)およびヒト唾液腺腫瘍(腺房細胞癌・粘表皮癌・腺様嚢胞癌・基底細胞癌・悪性筋上皮腫など)における腫瘍特異抗原の同定およびその利用方法の開発を目的として研究を進めている。これまでに腫瘍特異抗原としてわれわれが同定した4種類の抗原(hsp105,KM-HN-1,GPC3,PP-RP)については、ヒト口腔扁平上皮癌細胞株およびヒト口腔扁平上皮癌組織における遺伝子および蛋白質の発現に関してRT-PCR法やWestern Blot法を用いて解析を進めているところである。PP-RPにおいては、ヒト口腔扁平上皮癌細胞株およびヒト口腔扁平上皮癌組織の両方においてmRNAが高頻度に高発現しているという結果を得ており、今後さらに対象を増やして解析を行っていく予定である。さらに、新規腫瘍特異抗原の同定も行っており、今後は患者の腫瘍組織からだけではなく、簡便かつ患者への侵襲が少なくて済む方法で採取可能である血漿や唾液、涙、また尿や便を用いて、われわれが同定した腫瘍特異抗原や新規抗原の発現頻度や発現量をELISA法やrealtime-PCR法などを用いて正確に確認できる方法を開発し(腫瘍マーカーの発見とその検出方法の開発)、腫瘍の早期発見・早期治療の一翼を担うこと(その利用方法の開発)を目的として研究を行っていく予定である。 また、東京大学医科学研究所の中村裕輔教授と共同で口腔癌ペプチドワクチンのトランスレーショナルリサーチを行う準備を進めているところである。
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