研究概要 |
最近,成人においてプラーク中に占める歯周病原性菌の割合が歯周病に深く関わることが明らかとなった。しかし,小児を対象に定量PCR法を用いて歯周病原性菌の定量を行った報告は見当たらないため,歯周病に深く関わると示唆されているAggregatibaeter aetinomyeetemeomitans,Porphyromonas gingivalisおよびTannerellaforsythiaに焦点を当て,歯周病との関連を明らかにするため,検討を行った。 定量PCR法を用いた歯周病原性菌の定量 プラークサンプルは全萌出歯から滅菌歯ブラシを用いてブラッシングすることにより採取した。採取したプラークはDNA抽出後,PCR増幅を行った。Aa,PgおよびTfの検出されたサンプルを対象にTaqManプローブを用いて定量PCRを行った。プラーク中に占める歯周病原性菌の相対的割合はΔΔC_T法を用いて算出した。 歯周病原性菌の検出された小児(3〜16歳)において,Aa16名(健康歯肉群2名,歯肉炎群9名,歯周炎群5名),Pg29名(健康歯肉群5名,歯肉炎群14名,歯周炎群10名)およびTf27名(健康歯肉群4名,歯肉炎群13名,歯周炎群10名)を定量PCRの対象とした。 プラーク中に占めるAa,PgおよびTfの割合は,健康歯肉群,歯肉炎群および歯周炎群において,Aaは,0.03%,0.24%および0.05%,Pgは,0.01%,0.36%および1.04%,Tfは,0.03%,0.17%および0.22%であった。Pgにおいて健康歯肉群と歯周炎群の間でプラーク中に占める割合に有意差を認めた(Scheffe法,p<0.05)。 以上より,小児においてプラーク中に占めるPgの割合が歯周病と強く関連していることが示された。
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