研究概要 |
【目的】 IL-6component(IL-6,sIL-6R,sgp130)3者の局所及び抹消血中動態を把握し、歯周炎における新たな臨床マーカーとしての可能性を検索すること 【材料と方法】 慢性歯周炎患者(CP):N=45(58.4±1.4才mean±SE,M/F=20/25,Moderate CP:N=30,Advance CP:N=15),年齢マッチしたControl:N=50(56.4±1.3才,M/F=12/38)及び若年者Control:N=45(26.4±0.6才,M/F=22/23)を対象にした。歯肉溝滲出液は十分なサンプルが採取できなかった。 【結果】 (1)2群間(Cont.vs.CP),3群間(Cont.,Moderate,Advance CP)の比較において血清IL-6componentに有意差は認められなかったが、CP群でhsCRPが高い傾向を示した(P=0.05):Cont=396.1±61.0(ng/ml),CP=655.2±106.0。 (2)血清IL-6のみ臨床検査値(PD)と有意な相関性を認めたが、sIL-6R,sgp130,hsCRPには認められなかった。 (3)Control群において、血清IL-6とsIL-6Rに有意な相関性が認められたが(P=0.019)、CP群では認められなかった。また、血清IL-6とhsCRPにはControl,CP群とも強い相関性が認められた(P=0.0007,P=0.007)。 (4)Control群において、血清IL-6componentの年齢の影響を比較検討したところ、IL-6,sIL-6Rで有意差が認められた(P=0.0005,P=0.013)。 【考察】今回の結果より、IL-6,sIL-6Rは年齢依存性サイトカインであり、歯周炎病態形成においては各々のレベルよりも、そのバランスが重要であることが示唆された。
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