研究概要 |
ヒト歯肉線維芽細胞(HGF)のin vitro培養系にてアデノシン(100μM)存在あるいは非存在下で3時間培養後、全RNAを抽出し、AffymetrixHumanGenomeU133Plus2.0Array(47,000Genes,54,000-geneprobe)を用いて分析し、GeneSpringを用いて解析した。その結果、47遺伝子の発現の増強(Ratio>2)を認め、無刺激の場合と比較してTBP-2mRNAの発現の著しい増加(Ratio=14.4)が認められた。 そこで、HGFにアデノシン(100pM)存在下で1.5、3、6、12、24時間培養後、それぞれ全RNAを抽出し、RT-PCR法を用いて、GeneChipで高い発現が認められたTBP-2遺伝子について発現の確認を行った。その結果、HGF中のTBP-2mRNAの発現は、刺激後3時間をピークとして増加することが明らかとなった。さらに、HGFをアデノシン存在下で、アデノシンレセプターA1特異的アンタゴニスト(CPX)、アデノシンレセプターA2a特異的アンタゴニスト(CSC)を添加することにより、HGF中のTBP-2mRNA発現の増加は、CSC添加では著明な変化は見られなかったが、CPXの添加により抑制されることが確認できた。 TBP-2は、ラジカル消去作用や抗酸化作用など細胞内外のレドックス環境を調節すると考えられおり、炎症歯周組織における酸化ストレスの制御への関与が強く示唆される。本研究の成果は、アデノシンレセプターを介した炎症反応制御を受けていると考えられている歯周病の疾患を理解する上で有益な情報を提供してくれるものと考えられる。
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