本研究の目的は、地震災害時における精神障害者の生活の再構築に向けたサポート体制のあり方を明らかにすることである。平成19年度は、精神障害者に対する支援の全体的な実態、傾向と課題を明確にすることを目的として、地震災害被災後に、実際の支援に当たった自治体職員や、被災地に派遣された保健師、ボランティアスタッフに対して、郵送、ファクシミリ及び電子メール等を用いて、困難だった事例、避難所において精神障害者に対して行われた具体的な対応、あるいは、支援に当たっていた当時考えられた対応策、今後の対応策など、行われていた援助の実態を調査した。この調査結果からは、仮設住宅への優先入居の枠には、当初精神障害のある人は対象となっていなかったといった問題や、日々のかかわりや情報を持っていた保健師も被災者であり、基本情報以上の情報を求め辛いなど、避難所等での避難生活、復興期における生活の確保といった各段階に応じ、種々の問題点が明らかにされた。これにより、精神障害者の生活再構築のための援助の方向性について、一定の見解を得ることができた。さらに、これらの結果を活用し、精神障害者の被災後の生活再構築のサポートのために有益と思われる、中・長期的な支援を見据えた、精神障害者サポート体制の一試案を作成するために、要援護者の生活機能のアセスメント、患者のキーパーソンとの連絡体制の構築、環境調藤役割、外部の支援組織の把握などといった援助項目の選定を行い、地震災害時の精神障害者の生活再構築にむけた被災直後の援助についての試案を作成した。今後は、関係機関との連携や作成された試案をさらに検討していく必要があると考える。
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