研究概要 |
今年度は,昨年度考案した足浴ブーツを、高齢者施設において実際に使用し,深部体温の上昇や末梢循環の促進効果が得られるか否かを検討した。 研究方法は,以下の通りである。 対象者:特別養議老人ホーム入所中の後期高齢者15人 方法:入眠直前に30〜40分間の足浴ブーツによる下肢温罨法を実施する。 1)実施前後に,赤外線熱画像装置(Avio Thermography)を用いて四肢末梢からの熱放散の有無を撮影する 2)入眠前の足浴ブーツ使用を約2ヶ月間に渡り毎日実施。 唾液中のメラトニンリズム アクチウォッチによる睡眠覚醒リズム アンケートによる主観的睡眠感 を比較検討し,睡眠活動リズムへもたらす変化も同時に検討する。 本研究において考案した足浴ブーツは高分子吸収体を素材としており,どのような形態にでも加工可能である。現在,本研究で得られたデータの解析中であるが,このような素材での下肢温罨法で,末梢循環促進効果が明らかとなれば,いつでも,どんな体位でも,安静臥床を強いられる患者の緊張や不安,入眠困難といった苦痛を緩和することが可能となろう。また,足浴と比較しても,足浴ブーツによる温罨法はより簡便な方法であり,術後患者に安楽や爽快感を提供する際に,より迅速で適切なケアを実施することが可能となる。また,施設入所中の高齢者へ入眠を促す際に行われる,夜間入浴や夜間足浴に匹敵するケアとしても,足浴ブーツによる温罨法は,極めて有効なケアになり得るだろう。
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