本研究は、出産後に産科施設で助産師から夫婦に対する育児支援を受けた実態を明らかにし、育児開始時期の夫婦に対する学習プログラムを作成することを目的としている。今年度は、前年度の産科施設入院中に、夫婦で育児を経験した父親の思いに続いて、母親の思いについて検討した。対象は、母児ともに妊娠・出産(経膣分娩)・産褥経過が順調であった退院前日の夫婦10組(初産婦4組、経産婦6組)を対象に、半構成的面接法によりデータを収集した。面接内容は承諾を得て録音し、逐語録を作成し、内容分析を行った。出産後から夫婦一緒に育児を経験した母親の思いとして、1.夫と育児を共有することで、これからの育児に対する自信と育児への不安な気持ちを軽減させていた。2.夫が育児を経験することで、夫が母親の役割や育児の大変さを理解したり共感することで、妻に対する労りや配慮を感じていた。3.夫が子ども抱いたり、あやしたり、話しかけたりするなど父性ある行動に対し、安心し感動や喜びを感じていた。4.より父親が育児参加するために、出産時の休暇のみでなく、産後も勤務時間や休暇の調整といった社会からの支援を希望していた。5.出産後から夫婦でコミュニケーションを図る時間が持て、人間関係をより円滑にしている。以上により、親子関係や夫婦関係にポジティブな影響が示されたことにより、産科施設入院中に母親と同様に父親に対する育児支援の必要性と重要性が示唆された。
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