研究概要 |
本研究は,Group B Streptococcus (B群溶血性レンサ球菌;以下GBS)による新生児敗血症/髄膜炎発症予防のために,新生児敗血症/髄膜炎発症GBS株と非発症株の異同を明らかにすること,GBS母子感染予防ケアを明らかにすることを目的とした。 平成19年度は,新生児GBS感染症発症例と非発症例を継続して収集し検討した。新生児GBS感染症発症事例37例,非発症事例23例の収集ができた。発症事例37例のうち,妊娠中にGBSスクリーニング情報が入手できたのは8例であった。この8例のうちスクリーニング実施4例,未実施4例であった。スクリーニング実施4例の結果はいずれも陰性で,実施時期は其々妊娠22,33,34,35週であり,採取部位は腟のみであった。米国CDCでは妊娠35〜36週に腟と肛門からの培養を行うことを推奨しており,スクリーニングを実施していたとしても保菌者を的確に補足できず抗菌薬の予防投与がなされず児の発症に至っていると推察された。本研究は継続中で,産科施設に研究協力依頼中である。今後は,母の情報を収集し,新生児GBS感染症発症との関連を検討する。 発症GBS株と非発症株の異同は血清型別とPFGE法を用いた。新たに発症株5株,非発症株25株を収集した。血清型別の内訳は,発症株はIb型3株,Ia型,VI型各1株,非発症では,VI型7株,Ia型,Ib型,NT型各4株,III型3株,VIII型2株,V型1株であった。発症株,非発症株共にIb型の割合が増加していた。PFGE法では,病原性の高い血清型III型の株に対しDNAバンドが鮮明に観察できるPFGE工程条件を検討した。その結果,溶菌時の90℃10分間の加熱,lysozyme(5mg/mL)50μLとmutanolysin(100U/mL20μLを併用し,制限酵素はSma Iを用いるとDNAバンドが鮮明に観察できた。
|