研究概要 |
不妊治療後に妊娠した女性の妊娠期のケアニーズおよび育児期における自己認知を明らかにするために,体外受精を受けて妊娠末期〜育児期にある初産婦8名に半構成的面接法を実施した。 その結果,妊娠期のケアニーズは,【妊娠継続に対する現実的なとらえ方ができるように支援する】【不妊体験の影響を受けている状況がら木妊ど異なる状況に向かっていけるように支援する】【出産や育児に主体的に取り組み,元気で安全に子どもを育めるように支援する】【家族が子どもを迎え入れるための役割調整ができるように支援する】のカテゴリが抽出された。 また,育児期における自己認知の過程は,【「母親としての自己」の膨らみ】【「母親としての自己」の強化に拍車をかける】【自己の変化の獲得による「不妊としての自己」と「母親としての自己」の統合】【呼び起される「不妊としての自己」】【膨らんでいく否定的な「母親としての自己」】のカテゴリが抽出された。これらは妊娠期の自己認知によって異なり,【「母親としての自己」の強化に拍車をかける】,【膨らんでいく否定的な。「母親としての自己」】は,妊娠期に母親としてめ自己のイメージが乏しく,夫に対する肯定的な感情が少ない者に抽出されており,中には強い育児困難と自己否定によって抑うつ状態に至った者もいた。 上記より,不妊治療後の妊婦が安心して母親としての自分を好きになるための看護の方向件として(1)不妊が母親に及ぼす心理的影響を理解しながら,妊娠や育児における現実的なをらえ方を促す,(2)不妊の悲嘆作業の支援を行い,現在は不妊と異なる状況にあることの意識化を促す,(3)不妊時とは異なる対処の提案を行ったり,身体機能の正常さの自覚や自己コントロール感を促す,(4)ストレス時における変化や成長の意識化を促す,(5)「母親になっていく自分」の意識化を促し,妊娠中期頃より育児の準備を始めていくことを促すが挙げられた。
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