本研究の目的は、訪問看護ステーションに勤務する看護師の技衛指導に関する認識および在宅要介護高齢者の家族介護者が実施するにあたり不安や困難を感じている介護技術を明らかにし、両者を比較、検討することである。 方法は、訪問看護ステーションに勤務する看護師を対象に実施した「訪問看護における家族への介護技術指導に関する調査」の結果と、在宅要介護高齢者の家族介護者を対象に実施した「介護技術に関する調査」の結果とを比較し、検討した。 調査の結果、看護師が家族介護者への指導の必要性が高いと回答した介護技術は、褥瘡予防、口腔ケア、嚥下困難の食事介助、体位変換、室温調節、紙おむっの仕様や交換の方法、観察、安楽な体位、安楽な呼吸のための体位、上肢に障害のある揚合の寝衣交換など、日常生活に密着した内容のものが多かった。一方、家族介護者が不安や困難を感じると回答した介護技術は、病状の観察、車椅子への移乗や車椅子移動、要介護者とのコミュニケーション、手に障害(麻痺など)がある要介護者の寝衣を着替えさせること、食べ物や飲み物を飲み込みにくい要介護者の食事介助、ベッド上で要介護者の体を上下方向や水平方向に動かすこと、歯磨きやうがいで要介護者の口の中をきれいにすることなど、日常生活の中で必要となる技術が多かった。吸引、酸素吸入、尿道カテーテルの管理、経管栄養の管理など、医療器具を使用する専門的技術については、看護師はそれほど指導の必要性を感じておらず、家族介護者も不安や困難をあまり感じていないという結果であった。 本研究の結果より、訪問看護師が家族介護者への指導の必要性を感じている介護技術と、家族介護者が実施にあたり不安や困難を感じる介護技術はほぼ一致していることが明らかになった。今後は、これらの技術の指導について、より効果的な方法や内容を検討していくことが、訪問看護の質め向上につながると考える。
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