研究概要 |
目的:本研究は,在宅高齢脳血管障害者の災害サイクルに合わせた食生活支援を検討するために新潟県中越震災発生時から2年間の被災者の食生活と栄養状態の実態を明らかにすることである。研究方法:新潟県中越地震で被災した高齢脳血管障害者6名に面接聞き取り調査を実施。(1)発生時の様子(2)避難生活(3)震災に伴う健康課題について話を聞き,許可を得て録音し,内容を記述的に分析した。診療録や訪問看護記録から栄養に関する情報及び震災後の健康課題を収集した。データ収集期間は,2006年7月〜12月。結果:対象者の概要は,平均年齢80.5歳,男性3名・女性3名,診断名は脳梗塞5名,脳出血1名,基礎疾患は心房細動,高血圧,糖尿病であった。震災発生時から急性期:食事に関する実態は《再発予防ができない食事》《基礎疾患がコントロールできない食事》,嚥下障害者には《食べられない食事》であった。避難場所によって食事内容や提供量に差がみられた。薬中断により高血糖,痙攣発作,脳梗塞再発がおき治療が行われていた。慢性期:震災時に食事が十分にとれなかったことをきっかけに食事療法が守られず,体重増加者がいた。震災のためリハビリテーションが行えず身体機能が低下し,介護保険の利用が増えていた。考察:高齢脳卒中患者は,震災発生時から早急に援助が必要な要支援者であることがわかる。食事療法を含めた健康管理ができる避難施設の選択や薬の持参も含めて,地域の医療機関とともに日頃から検討していく必要性が示唆された。
|