研究課題/領域番号 |
18799004
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内分泌学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
曹 霞 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (70432218)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2007年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2006年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 甲状腺ホルモン / nongenomic作用 / シグナリング伝達 / 甲状腺ホルモン(T3) / 甲状腺ホルモン受容体 / 神経細胞 / アポトーシス |
研究概要 |
ヒト皮膚繊維芽細胞で同定したT3応答遺伝子RCAN2の発現機序を解析する過程で、我々は、T3がTRを介して、PI3K、Akt、mTOR、p70S6kinaseからなるキナーゼカスケードを活性化する新規作用を見出した。そこで、この作用の神経系における生理的意義を検討した。TRαを構成的に発現させたNeuro2a/TRα細胞においても、T3はTR、PI3Kを介してAktを活性化し、pro-apoptotic蛋白であるBadやGSK3βを抑制した。実際、T3は持続的なAkt活性化を介して血清除去によるNeuro2a/TRα細胞のアポトーシスを抑制した。次に、マウス大脳皮質スライスを用いて免疫組織染色法で検討すると、T3はやはりAkt活性化を介してcortical plateやintermediate zoneに存在する神経細胞に対して抗アポトーシス作用を発揮することが示された。T3によるPI3K活性化機序を明らかにする目的で、PI3Kの調節サブユニットp85αとTRαとの結合をGST-pull down法を用いて検討した。TRαはT3結合ドメインを介してp85αのSH2ドメインを含むC端側領域と結合した。更に、TRαを過剰発現する細胞において、T3はTRαとp85αの結合を増強するとともに、TRαとsrcの結合を増加し、srcを活性化した。以上のT3作用は、TRを介するがTRによる遺伝子発現調節を伴わない、いわゆるnon-genomic作用である。PI3K-Aktカスケードは成長因子によっても活性化され、細胞の増殖・生存や蛋白合成を調節する重要な制御系であり、T3はこうした系を直接制御することが明らかになった。T3によるPI3K活性化には、TR、p85α、p110、src、rasなどが高次複合体を形成し関与している可能性が示唆された。
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