研究概要 |
本研究は,歯科・口腔外科,整形外科領域に適用可能で著しく骨再生を促進する独自開発の担体において,in vivoのメカニカルストレス環境を模倣した培養システムの開発により骨再生メカニズムを明らかにすることを目的としている. 本年度は,3次元担体に対応したメカニカルストレス培養装置(メカニカルスティミュレータ)の開発に必要となる力学条件を明らかにするために,メカニカルストレス培養装置のプロトタイプを設計・作製を行った.試作機はPDMS(ポリジメチルシロキサン)を型形成した培養チップとPDMS膜から構成され,PDMS膜上に細胞群を播種するものとした.培養システムは制御部を除き新規導入したCO2インキュベータ内に設置することを実現し,長期培養可能なクリーンシステムを構築した.PDMS膜に変形を与えることにより薄膜上に播種された細胞群に勾配量のひずみを与えること,膜厚を変えることによりひずみ量を調節可能であることを有限要素解析から明らかにし,3次元担体に対応したメカニカルスティミュレータ設計における力学条件の同定を求めた.試作機によるマウス由来軟骨前駆細胞株ATDC5のストレス培養の結果,ひずみ量による分化傾向に違いがあることが示された.現在,応力解析から得られたひずみ量と細胞応答の関係を比較検討している.18年度に作製したプロトタイプ,ならびにそれらから得られた分化条件・力学条件は,in vivoのメカニカルストレス環境を模倣した培養システムを構築していくうえでの重要な基礎データをもたらした. メカニカルスティミュレータの開発・設計の遂行にあたり,上記の結果をふまえるとともに,3次元ストレス培養に適した担体の候補材としてリン酸オクタカルシウムはもとよりPDMS(ポリジメチルシロキサン)3次元担体の導入も検討している.
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