研究課題/領域番号 |
18800014
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研究種目 |
若手研究(スタートアップ)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
スポーツ科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
林 芳紀 東京大学, 大学院・医学系研究科, 科学技術振興特任助教 (90431767)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,780千円 (直接経費: 2,780千円)
2007年度: 1,390千円 (直接経費: 1,390千円)
2006年度: 1,390千円 (直接経費: 1,390千円)
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キーワード | ドーピング / エンハンスメント / 遺伝子 / スポーツ倫理学 / 生命倫理学 / 脳神経倫理学 |
研究概要 |
本年度は以下の二つの研究を遂行し、その成果を学術論文・口頭発表の形で公表した。 1. エンハンスメントの倫理的問題に関する研究 まず、前年度に引き続き、遺伝子技術利用を含むエンハンスメント一般に伴う倫理的問題に関する文献調査を実施し、生命倫理学とスポーツ倫理学という二つの学問領域の接触が、当該問題に関してどのような論点を新たに提起しうるのかという問題を検討した。その結果、スポーツ固有の実践形式の解明に焦点を合わせるスポーツ倫理学の視点は、エンハンスメント問題のひとつであるドーピング問題を検討するにあたり、確かに通常の生命倫理学の議論の射程には入らない豊かな洞察を与えてくれるものの、同時にそれは、生命倫理学における「医療の内部道徳/外部道徳」の対立の問題とも類比的に捉えられるような、エンハンスメント問題を論じる視点をどこに置くべきかという新たな本質的問題を提起することが解明きれた。 2. 脳神経倫理の問題に関する基盤的研究 脳科学技術は、遺伝子技術と同様、スポーツへの応用可能性の極めて高い生命科学技術であるが、近年この脳科学技術にまつわる倫理的問題を検討する「脳科学倫理学」(ニューロエシックス)と呼ばれる新たな学問領域が、多大な関心を集めている。そこで本年度は、多少予定を変更し、スポーツ場面の生命科学技術利用がもたらす倫理的問題を、より広範な学問的スペクトルのもとで捉え返すための基礎的研究として、脳神経倫理の議論の特徴の解明を目的とする文献調査を実施した。その結果、脳神経倫理学の現在の議論は、個別具体的問題と方法論的・概念的問題の間の相互影響関係、脳神経倫理を構成する二つの下位問題領域(「脳科学の倫理」と「倫理の脳科学」)の間の相互影響関係という二重の往復運動のもとに形成されており、これが脳神経倫理の議論の現状を複雑化させている要因である可能性が示唆された。
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