研究概要 |
現在組込みシステムはソフトウェアの複雑化・肥大化と同時に開発期間の短縮などが競争上必須となり、技術課題としての再利用性の向上が重要な課題となっている.本研究の目的は,こうした問題に対して、OSの支援拡張のための機能を提案した.ソフトウェアの再利用性の実現には、OSなどを変更した場合でもできるだけ書換えをおこなわずに、ソフトウェア資源を利用できる必要がある.スケジューリングでは、周期タスクのリアルタイム性能,非周期タスクの応答性を満たすという課題に対し、過去さまざまな研究がなされてきたが、アプリケーション及びスケジューラを変更せずに要求を満たす手法は提案されていなかった.本研究では、こうした問題に対して仮想周期実行(Virtual Periodic Execution、以降VPE)手法を提案した.仮想実行は、周期タスクを細粒度に分割することで非周期タスクの応答性を向上させるもので、従来手法のような非周期タスクの変更が不要となるため、開発コストが削減されるメリットがある.また、VPEを実際に実装した内容を公開することで社会に貢献することができると考えた.研究開発の成果は次の通りである.(1)初年度は理論モデルに基づき、アルゴリズムの設計を行った.又、VPEの実現にはアルゴリズムに基づいて細粒度化する際に問題となるマシン依存のタイマのボトルネックを詳細に検討必要であったため、次年度は、OS上のタイマの調査を行った.タイマの調査においては精度に関する評価手法の提案を行った.(2)設計を元に設計したシステム基盤上に、上位のポリシーとしてVPEを実装した.VPEの有効性を示すために、実際にMPlayerで評価を取り、システムの有効性を検証した.リアルタイムタスクの占有時間が100ms以上の場合には、30fpsの画像処理で改善効果を得る事ができた.(3)現在VPEアルゴリズムは、Linux-2.6.23上で動作している.現在ソースコード公開の準備を進めている.(4)タイマの指標の提案,VPEアルゴリズムの提案については論文を投稿予定・投稿中である.
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