研究概要 |
前年度(平成18年度)に明らかになったアポトーシス誘導に関わるシグナル経路である"小胞体ストレス"の活性化に関連した因子を探り、その結果をもとに運動トレーニングが骨格筋に及ぼす効果を検討した. 不活動(6ヵ月齢成熟ラットへの2週間の後肢懸垂)と老化(32ヶ月齢老齢ラット)ラットの萎縮ヒラメ筋を用いて変性タンパク質の増加と深くかかわる分子シャペロンタンパク質群(HSP72,HSC73,GRP78,ERp29,Calreticulin)の発現を検討した結果、特にストレス誘導型の分子シャペロンであるHSP72が老化により細胞質レベルで著しく減少することが明らかとなのた. そこで、運動トレーニングとNSP72発現の関連性を検討するために、ラットへのトレッドミル走運動を用いた-過性運動後(1日後、2日後、4日後、7日後)および8週間のトレーニング後(2日後、7日後、10日後、14日後、28日後)にHSP72の発現変化を検討した.その結果、-過性運動では運動1日後でHSP72の発現増加が見られるものの、2日後以降増加は認められなかったのに対して、長期的運動トレーニングではHSP72の発現増加が14日間以上維持され、その変化は筋重量の推移と類似した変化であることが明らかとなった.このような知見は、運動がHSP72の発現増加を介してアポトーシス抑制に有用であるとともに、トレーニングによりその効果が長期的に維持されることを示唆するものであった.
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