研究概要 |
自然界には多数の要素が相互作用し,複雑な現象を生み出す力学系が多く存在する.近年,観測技術の向上により,メカニズムに関与する要素の振る舞いを同時に観測することが可能になってきた.しかし,膨大な情報から有用な情報を引き出すには,効率の良い解析手法を考える必要がある。本研究において,観測データのみから,元のシステムを構成するネットワーク構造を捉える解析手法を提案してきた. 提案手法の性能を評価する実験では,数理モデルを用いて多面的に分析を行った.例えば,結合写像力学系や神経回路網モデルなどを構成し,時間発展させることにより時系列データを観測する.その観測データのみを用いて,元のネットワークの構造を推定し,その推定精度をもって提案手法の性能を評価した.また,実験に用いたネットワークのトポロジーとして,近年注目を浴びているSmall-WorldネットワークやScale-freeネットワークを生成し,複雑ネッ.トワーク科学により得られた知見を本研究に積極的に取り入れた. さらに応用研究として,ネットワーク構造を活かしたシステムの振舞いの予測法や,ブートストラップ法を予測法と組み合わせることにより,少数データでも高い予測精度を維持する手法などの検討も行っている.
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