研究概要 |
[実験方法]動物実験に移行する前にさらに詳しくin vitroの細胞実験を施行した。細胞実験で超音波エネルギーによる,殺細胞効果,増殖抑制,遺伝子導入の最適音響条件を見いだした。また,この条件を再現するために腫瘍内の温度測定,低浸透圧,マイクロバブルの種類を検討した。使用した細胞は:白血病細胞(U937),HeLa細胞,神経芽腫細胞,メラノーマ(C32),メラノサイト。超音波条件として超音波強度,周波数,Duty%,照射時間を検討した。動物実験はヌードマウスの下肢にメラノーマ細胞を移植し,腫瘍サイズを測定した。毎日,超音波(0.5W/cm/2)を照射し,2週間続けた。 [実験結果]各条件でマイクロバブルと超音波照射により遺伝子導入が認められ,腫瘍サイズの増大率への影響も認められた。一方,超音波のDuty%に依存するような実験結果は得られなかった。超音波照射により,細胞膜へ損傷することができるが,その機械的メカニズムによる腫瘍増殖抑制も検討されたが,バブルを使用しない微弱な超音波でも効果があったので,細胞への何らかの"刺激"も関与した可能性が考えられた。細胞周期に関して超音波による影響は明らかに認められ,昨年度までに得たデータを裏付けることができた。以上の結果より,腫瘍へ超音波を照射することによって腫瘍サイズの増大を抑制できる可能性があり,癌摘出手術前の新しい治療方法として期待できる。
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