研究概要 |
今年度も昨年度に引き続いて,無呼吸症候群を呈する患者から獲得できる鼾音だけから,ニューラルネットワークを用いて睡眠中の上気道の状態を推定できるかどうかを検討してきた。ニューラルネットワークを用いて鼾音を学習/モデリングした際,ニューラルネットワークの結合加重空間中に写像されている情報が何かを確かめるために,学習後の結合加重空間に対して独立成分分析を行った。それにより,結合加重空間中にシステムの変化が独立成分として取り出せる可能性を示した。更なる研究の進展を図るために,夏にクイーンズランド大学を訪問し,Dr. Udanthaと研究に関する綿密な打ち合わせを行った。そこでの研究内容は次の通りである。ニューラルネットワークを用いた: (1) オーストラリアで獲得されたデータに対する上気道の状態推定 (2) 鼾音セグメンテーションの研究 (3) 無呼吸の事前予測の基礎的検討 (4) PSGデータ解析による無呼吸抽出 それらの研究成果に基づいて,OSAを呈する患者からの鼾音は個人性が強く,さらにその複雑性から,鼾を生成しているシステムも複雑な状態で成り立っていると予想され,統計学的なアプローチが必要なことであると示唆された。また,現在までの研究成果として,(I) OSAを呈する患者,(II) OSAを呈する患者(AHI<20) (III) PSG検査によって健常と診断された人,これら3パターンの鼾音を解析し,比較検討することも重要であることが考えられた。現在,得られた研究成果をもとに,更なる研究成果を挙げるべく,邁進しているところである。
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