研究課題/領域番号 |
18820004
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研究種目 |
若手研究(スタートアップ)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
日本語学
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
田和 真紀子 (小川 真紀子) 宇都宮大学, 教育学部, 講師 (30431696)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
1,090千円 (直接経費: 1,090千円)
2007年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2006年度: 590千円 (直接経費: 590千円)
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キーワード | 副詞 / 意味 / 機能 / 変化 / 史的変遷 / 「ダンダン」 / 「離散的表現」 / 「連続的表現」 / 「だんだん」 / 「おほよそ」 / 「およそ」 |
研究概要 |
平成19年度は、平成18年に日本語学会秋季大会にて、「副詞における意味変化と機能変化の相関-「だんだん」を例として-」として口頭発表を行ったものの一部を論題「「ダンダン」の意味・機能の史的変遷-〈累積〉から〈進展〉へ-」(『都大論究』45号 平成20年4月23日現在印刷中)として論文化した。論文化にあたっては、新たな知見を加え、大幅に改稿した。 平成18年の日本語学会口頭発表の時点では、「ダンダン」が中世初頭に一片一片が離散的に集合している状態を表していたものが、中世末から近世にかけて、秩序のある集合を表すようになったことを記述し、その変遷過程には意味変化と機能変化の両方が関わっていることを報告するにとどまっていた。 この報告を踏まえ、平成19年度には、「ダンダン」における離散的な集合から連続的な集合への意味変化について、認知言語学の観点から改めて見直し、「「ダンダン」の意味・機能の史的変遷-〈累積〉から〈進展〉ヘ-」において「ダンダン」が〈累積〉から〈進展〉へと展開した「変化の要因」について論じた。 また、本論文から、発展的な一つの仮説が得られた。それは、「日本語が古代語から近代語へと大きく変化する流れの中で、量や時間を表す抽象的な意味が「離散的な表現から連続的な表現へ」と大きく変化した」というものである。 「ダンダン」の史的変遷においては、〈階段状〉や〈序列〉といったものごとの〈累積〉を表す用法は、あくまでもバラバラで個別に存在する離散的なものを並べるための規則に他ならなかった。しかし、そこから一連の漸次的な質の変化を表す〈進展〉用法へという変化には、背景となる量や時間を表す抽象的な意味体系が日本語の近代語化の流れの中で、「離散的な表現から連続的な表現へ」と大きく変化したことが関係していると考えられる。 もし、この仮説が妥当であれば、他の時間表現や数量表現の意味・機能の変化においても、同様の「離散的な表現から連続的な表現へ」という変化が観察されると考えられる。この仮説を今後の研究において発展させたい。
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