研究課題/領域番号 |
18820027
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研究種目 |
若手研究(スタートアップ)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
日本語学
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
嵐 洋子 杏林大学, 外国語学部, 講師 (90407065)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
1,240千円 (直接経費: 1,240千円)
2007年度: 270千円 (直接経費: 270千円)
2006年度: 970千円 (直接経費: 970千円)
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キーワード | 長音 / ピッチ / 無型アクセント / 熊本市方言 / 知覚 / カテゴリー的知覚 / 能太市方言 |
研究概要 |
本研究の目的は多くの日本語学習者にとって知覚が難しいとされる長音に焦点をあて、日本語母語話者が長音をどのように知覚しているのかを明らかにすることである。特に持続時間と、ピッチ変動の有無が長音の知覚にどのような影響を与えているのかについて、東京方言話者及び無型アクセントとされる熊本市方言話者に対して調査を行い、弁別アクセントの有無によって長音の知覚に違いがあるのかどうかを考察した。 H19年度はH18年度に熊本市方言話者に対して行った有意味語の合成音声による知覚実験を東京方言話者に行い、熊本市方言話者と比較・分析を行った。さらに両方言話者に対し無意味語の知覚実験、また熊本市方言話者に対してはアクセント調査も行った。その結果、熊本市方言話者は東京方言話者より全体的にピッチ変動の影響が小さく、持続時間に関しては同定が鋭い傾向が見られ、長音を知覚する際に持続時間の影響がより強いことが示唆された。一方、東京方言話者は長音を知覚する際、持続時間とピッチ変動の両方の影響を受けることが確認された。また、熊本市方言話者のアクセント体系と長音の知覚との関連について考察を行った結果、伝統的な熊本方言のアクセントの特徴が強い話者から、共通語の影響が強いと思われる話者まで連続的であることが分かった。その両極の話者に関しては長音の知覚にも影響があり、熊本方言の特徴が非常に強い話者はピッチ変動の影響が小さく、共通語の影響が非常に強い話者はピッチ変動の影響が大きいことが示唆された。 今回の調査より弁別アクセントの有無によって長音の知覚に違いがあることだけではなく、熊本市方言話者のアクセント体系の変化が長音の知覚に影響を与えることが示唆された。これらの結果は、今後の長音の研究において意義のある結果であると同時に、日本語教育における長音の指導においても示唆を与えるものと思われる。
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