本研究は、京都所司代に関わる史料を調査・収集し、所司代の行政機構を明らかにすると共に、上方支配における位置づけを行うことが自的である。 本年度は、昨年に引き続き史料の調査・収集を行った。調査先は国立国会図書館、国立公文書館、高崎市立図書館、群馬県立文書館、京都府立総合資料館である。調査・収集した史料は以下の通りである。 1.幕府の諸機関(江戸)で作成された所司代関連の史料 2.京都の所司代役所で作成された史料 3.上野国高崎藩(松平家)に伝来した所司代関連史料 なお、調査・収集した史料については、昨年度のものも含め、目録作成を行った。 所司代の行政機構については、信濃国上田藩(松平家)、越前鯖江藩(間部家)、駿河国田中藩(土屋家)、上野国高崎藩(松平家)の分析を中心に行い、機構形成の過程や行政機構の藩内での位置づけ、所司代の役知領などに新たな知見を得ることが出釆た。その一端は「松平忠周の所司代就任と幕府発給文書について」とレて『甲南大学紀要文学編』154に発表した。 また、本研究によって新たに以下の課題が確認された。 1.所司代の多くは大坂城代から昇進するため、所司代と大坂城代とを有機的にリンクさせた研究が必要である。 2.調査・収集が未着手の所司代就任大名家がある。引き続き調査・収集の必要があるが、かなりの労力が必要である。共同研究など、新たな研究体制の構築が求められる。
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