研究課題/領域番号 |
18830003
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研究種目 |
若手研究(スタートアップ)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会法学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
押見 善久 北海道大学, 大学院・法学研究科, 協力研究員 (10399785)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,980千円 (直接経費: 2,980千円)
2007年度: 1,490千円 (直接経費: 1,490千円)
2006年度: 1,490千円 (直接経費: 1,490千円)
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キーワード | 労働 / 成果主義 / ベトナム / 就業規則 / 解雇 / 労働法 / 労働組合 / 派遣 / 公務員 / 郵政民営化 |
研究概要 |
平成19年7月、ベトナムは労働組合によらないストライキ手続きを許容した(同月施行労働法典改正法)。右法改正は既存の労働組合制度を崩壊させる危険が大きいものであり、同法案の可決・施行は本研究課題において予想外の展開であった。 そこで、本来は平成19年度中に予定していた同国の集団的労働条件決定システムに関する現地調査を翌平成20年度に延期し、平成19年度は、もっぱら上記改正法、関係各通達、その他関連情報等が一通り出揃うのを待ちながら、それら資料を順次分析し、同法の実質的な意義に関する一定の見解を構築した。 以上を踏まえて、平成20年度前半に現地調査の具体的な日程・内容・カウンターパート・方法などにつき調整したうえで、平成20年10月の約2週間、現地調査を実施した。その成果として得られた結論は以下のとおりである。 すなわち、この改正により唯一の法認組合であるベトナム労働組合の影響力は一部損なわれた。しかし、未組織事業体の増加傾向の下で、労働者におけるストライキの要請(労働条件に対する極度の不満)があるにも関わらず未組織のためにスト権が行使できないという状況が一般化すると、労働者は現行労働法システムを見限り、自主労組による新たな労使関係の構築を目指しかねない。これは、社会主義体制にとって非常に危険な展開である(ポーランドの例)。そのような観点から、上記改正は、むしろベトナム労働組合の影響力低下を最小限に食い止める観点からとられた措置と思われる。また、〈国家は未組織事業体の従業員にもスト権行使のチャンネルを用意したが、労働者らがこの手続によらず敢えて違法ストを行っている〉という構図への転換を図るものとも言える。このように、単純に労働者への新たな権利付与と評価することはできないと言うべきだろう。
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