研究概要 |
夜勤看護師のバーンアウト予防を目指した睡眠に関する心理教育プログラムの開発を目指し,(1)看護師とバーンアウトのリスクファクターとしての感情労働と睡眠に関する質問紙調査(2)看護学生および精神科看護師に対する睡眠に関する心理教育を行った。 (1)については,2007年7月から12月にかけて,A県内とB県内の病院に勤務する看護師(夜勤従事者含む)316名に対して質問紙調査を実施し,バーンアウトのリスクファクターとしての感情労働と,不眠の重症度および眠気について検討を行った。その結果,感情労働の中でも,患者を叱るなど否定的な感情を表現しなくてはならないような場合,すなわち認知的不協和が特に睡眠に関連の深い変数であることが明らかとなった。さらに,認知的不協和が高い群では不眠の重症度の高低に伴って眠気の主観的評価に差がみられ,不眠と眠気が表裏一体であることを裏付けていると考えられた。しかし不眠の重症度が高い群では認知的不協和の負担の高低によって眠気の主観的評価が異なった。これは認知的不協和というストレッサーに対し,眠気という形で覚醒水準を低減させている防衛的な反応の可能性がある。以上から主観的な眠気の評価について職務の特質を考慮に入れて検討することの重要性が示唆された。 (2)については,2007年10月から11月にかけて,A県内の病院に勤務する看護師を対象に,睡眠表の記録を通したセルフモニタリングと,睡眠の心理教育の実施を行った。調査協力者との話し合いの中で,プログラムの内容の検討を行い,改善点や加筆すべき点などを明らかにした。今後は,よりデータ数をより増やし,プログラム洗練化と評価を行う必要があると思われる。
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