本研究は、市民性教育のエージェントとして学校を改革していくための理論モデル構築研究である。そのために、市民性教育を通じて学校改革に取り組むある公立中学校のエスノグラフィーを行い、それを通じて、1)学校改革のダイナミックなプロセスを、授業改革、教師の同僚性、地域連携等多面的な視角から把握し(=学校改革のエスノグラフィー)、同時に、2)市民性教育の学習モデルを構築する(=市民性教育のカリキュラム開発と理論的整理)。それらを通じて、3)市民性教育のエージェントとして学校を改革していくためのモデル構築を目指す(=市民性教育を通じた学校改革モデルの構築)。 本年度は上記の課題を達成するために、A.フィールドのデータ収集と分析、B.文献収集と精読を行った。Aについては、週一回程度授業観察及び教師へのインタビューを行った。特に、調査校が、教職員集団としていかにして学校改革を進めているのか、また地域社会とどのような関係を結んでそれを行おうとしているかについて動的に把握することができた。また対象校を小学校にも拡大し、各段階での市民性教育の在り方と学校改革、教職員集団の組織化についてデータ収集、分析を行った。Bについては、国内外の市民性教育、学校改革に関する論文を収集し、精読することで、研究の理論的枠組みの精緻化を図った。特に多様性・公正・平等を保障するための市民性教育について考察した。 研究の成果を一部適用して、日本学習社会学会での発表、別記の通り論文を発表した。学校改革モデルの構築については、現在考察中であり、研究を継続するなかで成果を発表していきたい。
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