研究課題/領域番号 |
18830039
|
研究種目 |
若手研究(スタートアップ)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
政治学
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高橋 百合子 神戸大学, 国際協力研究科, 准教授 (30432553)
|
研究期間 (年度) |
2006 – 2007
|
研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
|
配分額 *注記 |
2,270千円 (直接経費: 2,270千円)
2007年度: 1,450千円 (直接経費: 1,450千円)
2006年度: 820千円 (直接経費: 820千円)
|
キーワード | 政治学 / 政治経済学 / 社会政策 / 貧困削減 / 選挙 / メキシコ / ラテンアメリカ / 再分配 |
研究概要 |
本年度に行った研究は、メキシコの代表的な貧困削減政策であるPROGRESAの財源配分に関して、主に、連邦政府から地方政府を介して受益者に財源が配分される過程に焦点を当てた。具体的に、地方レベルで本当に貧困者に便益が行き届いているのかどうかの確認作業に重点が置かれ、次のような成果を得た。 1.メキシコでの現地調査において、中央政府の同政策担当者、行政監視局の担当者、学識者、および非政府団体(NGO)であるアリアンサ・シビカ(Alianza Civica)へインタビューを行った。その結果、2000年以降、メキシコにおける民主化の進展にともなって、社会政策に対する監視が強まり、少なくとも連邦政府レベルで財源の不正使用が劇的に減少したことが確認された。 2.特に、2000年に長期の一党支配体制を敷いてきた制度的革命党からの政権交代が行われて以来、政党間競争が高まり、政党同士がお互いを監視する動機が強まった。その帰結として、財源使用の透明性を求める制度改革が進展したことが明らかになった。その結果、PROGRESA財源使用に対する監視が強まり、選挙目的とした財源流用に歯止めがかかったことが理解された。 3.その一方で、連邦政府レベルでの改革がまだ地方レベルへ浸透していないことも分かった。具体的に、連邦主義をとるメキシコにおいて、財源使用に関わる監視システムの構築には著しい州間格差がある。南部の経済社会水準の低い地域において改革の遅れが目立っており、地方有力者による財源の流用が引き続き顕著な問題として認識された。 4.こうした改革の政府間格差の帰結として、財源使用の監視機関を強化する改革が進んでいない州では、PROGRESA等の貧困削減政策が貧困者に届いていないことがデータから確認された。特に選挙前に、地方有力者による買表行為の手段として貧困削減政策が利用されている現状が明らかにされた。
|