研究概要 |
<臨床的特徴の解明>不器用(運動困難)を持つ児童の臨床的特徴の解明のために、評価判定法を作成し,その有用性を検討した.対象は発達障害児を含めた40例である. 1.評価判定法:問診12項目の点数と診察5項目の陽性数によって判定する.問診は,球技やはしの使い方等の学業や日常の活動に関する運動の発達を含めた過去と現在の状況を聞く.診察は,閉眼片足立ち,回内回外運動などの微細神経学的徴候を評価する. 2.有用性の検討:40例を判定法により運動困難の有・疑・無に判定し,運動発達検査Movement Assessment Battery for Childrenの結果と比較した.結果,有群14例中10例,疑群10例中3例が運動検査で運動障害を認め,無群では16例中全例運動障害を認めず,概ね判定と検査結果は一致した.よって,この運動困難の判定法は有用で,発達性協調運動障害を診断する指標になると考える. 3.臨床的特徴:さらなる検討より,運動困難の有・疑判定の子どもは,バランスに問題を持つことが分かった. <神経基盤の解明>不器用の神経基盤の解明のために,脳機能画像法(機能的核磁気共鳴画像法)を用いた.ポインタ(●)をジョイスティックで操作し、直線上を反復して動く輪(○)の中に入れる追従課題と操作しない追視課題を設定した.対象は発達性協調運動障害児群(DCD児)6例,健常児群5例である. 1.結果:追従課題から追視課題を引いた各群の脳活動は,DCD児群では明らかな活動が見られなかったが,健常児群では,左上頭頂葉,左補足運動野,右の下後頭葉,右の中心後回に活動が見られた. 2.神経基盤:さらなる検討が必要であるが,視運動に関連する脳領域が明確に活動しないことがDCD児群の特徴であることが示唆された.
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