2007年度は、国内のDV被害者の支援機関等のヒアリング調査と、デンマークの先進事例を持つDV被害者の支援団体へのヒアリングを行った。 国内調査は、都市部の配偶者暴力相談支援センター、男女共同参画室、母子生活支援施設、先進的な取り組み事例を持つ地方都市の男女共同参画室などをヒアリング調査した。ヒアリングの内容からは行政施策の違いが明らかになったが、その原因として、行政部内のドメスティックバイオレンス自体の認識不足からくる温度差がDV施策の地域格差を生み出していると推測された。地方はとりわけ、一人の職員が多種多様の業務のひとつとしてDVを担当しており、専門性の高い職員の不足が深刻であった。 デンマーク調査においては、自立支援のための女性専用の避難シェルターのヒアリングを行った。デンマークのシェルターのほとんどは民間の力で設立されているにもかかわらず、運営資金は行政の補助金で運営されていること、シェルター設置基準については不明だが、居室の広さ、職員の数等、既存の日本の施設に比べると十分といえる生活環境が整っていたこと、また入所者は、コンタントイエルペ(社会扶助)によって生活していることなど、が明らかになった。また最近のデンマーク特有の問題として、移民の問題があり、貧困から逃れるためにデンマークに結婚にやってくる外国人妻が増加しているが、多くは社会から孤立し非常に弱い立場に追いやられていた。デンマークの事例は日本のDV施策への示唆となることが多く、今後もDV被害者への施策の先行事例として検討していきたい。
|