研究課題/領域番号 |
18830107
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研究種目 |
若手研究(スタートアップ)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
会計学
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研究機関 | 山形大学 (2007) 光陵女子短期大学 (2006) |
研究代表者 |
緒方 勇 山形大学, 人文学部, 講師 (40435300)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
1,980千円 (直接経費: 1,980千円)
2007年度: 720千円 (直接経費: 720千円)
2006年度: 1,260千円 (直接経費: 1,260千円)
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キーワード | R&D / キャッシュ・フロー / 無形資産 / 利益調整 / 将来キャッシュ・フロー / 実証会計学 / 研究開発費 |
研究概要 |
本年度は、主に昨年度において得られた暫定的な分析結果について、学会での報告を通じてリファインを行い、最終的に完成された分析結果を論文にまとめて雑誌へ投稿した。 本研究では、研究開発活動という無形資産投資を行っている企業と行っていない企業とで、会計利益が将来キャッシュ・フローを予測する能力にどの程度の違いがあるかを調査した。現行の会計制度のもとでは、成果が将来期において現れるにもかかわらず、発生時即時費用化が要求されている研究開発活動投資は適切な期間損益計算を攪乱する要因と考えられるため、会計利益が持つ将来キャッシュ・フロー予測能力に対して悪影響を及ぼしていると予想される。本研究ではこの予想について検証した。 分析の結果、(1)研究開発活動の有無にかかわらず、キャッシュ・フローが将来キャッシュ・フローを予測する能力は次第に低下しつつあること、(2)研究開発活動を行っていない企業ではキャッシュ・フローの代わりに会計利益を使っても将来キャッシュ・フロー予測能力は改善しないこと、(3)研究開発活動を行っている企業ではキャッシュ・フローの代わりに会計利益を使うことで将来キャッシュ・フロー予測能力が著しく改善すること、が判明した。 この結果は当初の予想と異なるものであり、どのように解釈すればよいかは難しいところであり、今後、検討されるべき問題である。一つの可能性としては、一般に研究開発活動投資額の決定には経営者の自由裁量の余地が大きく、また、現行会計制度では発生時即時費用処理が要求されているため、経営者には研究開発活動の水準の調整を行うことにより、報告利益の調整を行うことが可能となっている。本研究の分析結果は、そのような報告利益の調整の結果なのかもしれないが、この仮説の検証は今後の分析にゆだねられる。
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