本研究では、特別支援教育を支援するための特別支援教育コーディネーターの連携と協働を支援する遠隔連携システムの構築と実用化に向けた検討を行った。特別支援学校における特別支援教育コーディネーターへの聞き取り調査を行い、遠隔連携システム運用に必要な機能等について検討を実施した。結果からは、ポートフォリオ・情報提供機能、会員制電子会議室機能、テレビ会議・遠隔講義受講機能が、遠隔連携システムに必要な機能であると考えられた。そこでそれらの機能が使用可能な遠隔連携システムを構築し、地域連携の試行を行った。 なお、本研究を進めるにあたっては、愛媛大学教育学部附属特別支援学校、秋田大学教育文化学部附属特別支援学校、滋賀大学教育学部附属特別支援学校、滋賀県甲賀市教育研究所、石川県立明和養護学校、香川県立香川丸亀養護学校の協力により実施した。特に愛媛大学教育学部附属特別支援学校、秋田大学教育文化学部附属特別支援学校については、実際に地域連携に遠隔連携システムを導入し、試行を行った。試行からの考察では、学校におけるインターネット利用環境が整ってきているが、対面での機能的な連携無くして、遠隔連携システムは機能しないということが明らかになった。また、支援対象となる教員は様々な情報と連携を求めていること、さらに特別支援学校側に地域の特別支援教育情報の提供を続けるための対策等の具体的な方策の検討が必要であることなどが今後の課題である。
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