研究課題/領域番号 |
18840014
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研究種目 |
若手研究(スタートアップ)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
地球宇宙化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中山 典子 東京大学, 海洋研究所, 助教 (60431772)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,760千円 (直接経費: 2,760千円)
2007年度: 1,380千円 (直接経費: 1,380千円)
2006年度: 1,380千円 (直接経費: 1,380千円)
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キーワード | 同位体地球化学 / 溶存酸素 / 化学トレーサー / 地球化学 / 水循環 |
研究概要 |
本研究は、海水甲の溶存酸素の濃度とその同位体比を海洋の化学トレーサーとして用いて、海洋における物理的/生物的プロセスを明らかにした。従来のほとんどの研究において、海水中の酸素は濃度のみが測定されてきたが、本研究では濃度と同時にその安定同位体比(δ_<18>O)を測定することにより、海洋における生物活動、大気海洋間の気体交換、海水の混合循環といった複雑に絡み合った物質循環を解明するための海洋の化学トレーサーとして、その有用性を格段に高めた。淡青丸KT-05-11次研究航海および白鳳丸KHO6-2次研究航海おいて、それぞれ日本海、フィリピン海の溶存酸素とその安定同位体比(δ_<18>O)の断面結果を得て、これらに簡単な一次元拡散移流モデルを適用して解析を行った。本研究では、このモデルを用いて両海域における海水中の溶存酸素消費速度を求めた。次に両海域における中深層において酸素安定同位体分別係数を求めた。酸素同位体比については、高精度な分析方法を適用したため、既往の研究に比べて精密な同位体分別係数を求めることができ、0.9883±0.0002であると求められた。これは、実験室実験から報告されている生物活動による消費/有機物の分解過程の際の分別係数とよく一致しており、これらの海域における中深層の溶存酸素濃度分布を支配している要因は、主に生物活動による消費/有機物分解過程であるということがわかった。また、表層において、全観測点で濃度は表面(30m以浅)で大気平衡値に較べて約10%の過飽和を示して板。同時に得られた溶存酸素の酸素安定同位体比(δ<18>O)は、この時の表面水温における大気平衡理論値[Kroopnick and Craig,1972]よりも有意に軽い値(1.4‰程度)を示しており、表面海水中の溶存酸素濃度の過飽和は光合成過程が主な要因であることがわかった。
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