研究概要 |
隕石を用いた局所分析的手法の確立とコンドリュールの年代測定をめざした.以下に研究実績の概要を箇条書きにする. *二次イオン質量分析法を用いた微小分析法の技術的開発を行った.ディオ・レンズを導入し,プローブ・ビーム径をこれまでの約半分にまでしぼることを可能とした.自動センタリング手法を開発し適用した.その結果試料のマウント間での別状態の違いが再現性に最も影響を与えることがわかった. *同位体分析における再現性を向上させるために自動研磨の手法を開発した.この結果マウント・レズンと試料の高さの違いを1ミクロン以下におさえることが可能となった.同一試料内での精度が0.2‰であるのに対して,異なるマウントに載る同一試料の再現精度を1‰にまで高めることができた. *コンドリュール・ガラスの酸素同位体分析における確度を向上させるためにコンドリュール・メルトに近い組成をもつをもつ10種のガラス試料の合成(An-Ab, En-Diシリーズ)を行った。これらの試料の同位体組成は昨年度作成したスパイクを用いて変化させ,実際の同位体組成はレーザー加熱型ガス質量分析法を用いて0.1‰の精度で求めた. *上記の試料を用いて,コンドリュール・ガラスの酸素同位体分析を行った.酸素同位体組成と比較し二次変質の影響を受けやすいアルカリ元素の局所同位体分析を同一試料に対して行い水質変成プロセスを検討した.また二次変成プロセスに注目して,コンドリュールのアルカリ年代測定を行った結果,報告されている鉛年代と比較して有意に若い年代を得た.
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