研究課題/領域番号 |
18840044
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研究種目 |
若手研究(スタートアップ)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
固武 慶 国立天文台, 助手 (20435506)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,540千円 (直接経費: 2,540千円)
2007年度: 1,270千円 (直接経費: 1,270千円)
2006年度: 1,270千円 (直接経費: 1,270千円)
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キーワード | 超新星爆発 / ニュートリノ天文学 / 重力波天文学 / 重元素合成 / 輻射磁気流体力学 / 強磁場中性子星 / 極超新星爆発 |
研究概要 |
本研究課題の研究計画一年目に予定していた、二次元輻射磁気流体計算の高速化(MPI化)を可能にした結果、これまでの10倍近く長いタイムスケールの数値計算を行うことが可能になった。そのおかげで、超新星コア内で失速してしまった衝撃波自身が流体不安定性になるモードが存在することを指摘できた。更に、入力物理を詳細に含んだ数値計算を行った結果、初めて、この流体不安定性がニュートリノ加熱メカニズムを助け、超新星爆発を数値計算で再現する上で不可欠な要素であることを明らかにできた。さらに、この不安定性が作る超新星爆発の非対称性は、観測とも整合性が良いことを指摘できた。また研究計画通りに、爆発する超新星モデルにおける重力波波形の計算及び、解析も行った。その結果、ニュートリノ起源の重力波が、物質起源の重力波よりも卓越することが分かった。特に、ニュートリノ起源重力波は低周波(〜100Hz)以下で強度が強くなり、特に我々の銀河中心で起こる超新星に対しては、次世代の重力波検出器では十分な検出可能性があることを指摘できた。さらに、この研究の発展形として、最近の素粒子モデルの中が指摘する、比較的低密度で核物質がストレンジクオーク物質に変化することを予言する状態方程式を使って重力崩壊のシミュレーションを行なった。その結果、相転移でコアの重力崩壊が促進され、相転移が起こらないときに比べて重力波強度が10パーセントほど増加することが分かった。この研究では、重力波天文学が明らかにできる物理的対象(ここでは相転移)を具体的に指摘できたことに重要性がある。 また初年度に開発した数値計算を応用して、強磁場で非対称に爆発する極超新星モデルにおける元素合成の計算を可能にし、太陽組成比に対してガンマ線バーストからの寄与を見積もることができた。この研究は、極超新星の中心天体を元素合成の視点から明らかにしようとする、新しいものであり、今後のより詳細なサーベイの礎を築いた。
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