研究概要 |
本年度は、感温性ユニットおよび蛍光応答性ユニットからなる蛍光性分子温度計に対して、温度を変化させた際の蛍光寿命変化について検討した。その結果、感温性ユニットの原料としてN-イソプロピルアクリルアミド、蛍光応答性ユニットの原料として4-N-(2-N-メチルアクリルアミドエチル)-N-メチルアミノ-7-N,N-ジメチルアミノスルホニルベンゾフラザンを用いた蛍光性分子温度計の平均蛍光寿命が、30℃から35℃の温度上昇に伴って、4.22nsから14.1nsに延長することがわかった。この応答では1℃あたりの蛍光寿命変化が27%であり、これまでに報告されたどの蛍光性分子温度計よりも高感度であった。また、0.005-1w/v%という広い濃度範囲において一定の蛍光寿命(13.7±0.18ns)を示すことを明らかにした。さらに予備的知見として、本課題で合成した蛍光性分子温度計が生細胞中でも機能することを確認した。 以上の結果を、第56回高分子討論会にてポスター発表(2007年9月21日、3Pbl12)し、The Journal of Physical Chemistry B誌上(C. Gota, et. al., J. Phys. Chem. B, 2008,112,2829)で論文公表した。さらに、本研究分野の代表として群馬大学・生体調節研究所シンポジウム(2007年11月30日)にて講演を行い、蛋白質 核酸 酵素増刊号「ケミカルバイオロジー」(共立出版)に解説記事を寄稿した。
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