研究概要 |
主に橋梁を対象として,振動計測モニタリングから健全性を診断することを目的とし,モニタリング技術開発ならびに既設橋梁のモニタリングを実施した. 1. トータルステーション上にレーザードップラー速度計を搭載することで,非接触かつ遠隔的にスキャニング振動計測を可能とするシステムの開発を進めてきた.本年度は,データ収録部の改善ならびに計測点の座標値を取得する機能を追加実装した.2008年度に首都高速道路において実用化に向けたフィールドテストを行う. 2. 一般に入手可能なMEMS要素技術を利用して,橋梁の振動計測モニタリングを可能とするセンサノードのプロトタイプを作成した.プロトタイプの性能は,タイムスタンプを付加しながら,三軸加速度計のアナログ出力を100Hzにてサンプリング可能である.センサノードを既設橋梁の垂直材に取付けて振動計測を実施したところ,検証用のサーボ型加速度計と非常に良い一致を示したことから,動作性に問題がないことが確認された. 3. 長岡市にある鋼トラス5橋(長生橋,与板橋,昭和橋,小坂橋,鷺之島橋)において,サーボ型加速度計を各径間中央の垂直材に取り付け,振動計測モニタリングを実施した.得られた知見を以下に示す. ・各橋梁における計測結果から,鉛直方向の1次固有振動数が島田の式により予測可能である. ・各橋梁で計測された鉛直方向の最大加速度を比較すると,ゲルバートラス形式である長生橋の吊径間部にて,応答が約2〜13倍大きくなっている.また,ダンプカーの通過による影響が顕著であり,乗用車通過時と比較すると応答が約3〜13倍となっている. ・長生橋の支承部には,伸縮装置の段差を車両が通過することに伴い,衝撃的な力が繰り返し作用している.実際,長生橋のある伸縮装置付近では2000gal以上の加速度が見られた.同箇所の縦桁下フランジではき裂の発生が確認されており,発生加速度と大きな相関があるものと推察される.
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