研究概要 |
本研究では,波動フィルタリング法によって,二次元構造物中を伝播する波動を直接センシングし,その情報を基に制御系を構築することを基本方針としている.本年度は,薄肉矩形平板を対象とした種々の波動フィルタリング法について検討を行った.これらの結果をまとめると次のようになる. (1)ポイントセンサ群による波動フィルタリング法 4つ以上のポイントセンサアレイを用いることで,波動フィルタを構成した.具体的には,各センサアレイによってモードフィルタリングを行い,その後,各モード空間において伝播する一次元波を,各センサアレイの出力からフィルタリングする手法を提案した.その際,モードフィルタリングにおける最適なセンサ配置についても検討を行った. (2)スマートモードセンサによる波動フィルタリング法 4つ以上の一次元スマートセンサを用いた波動フィルタの構成法を明らかにした.この場合,スマートセンサは無限個のポイントセンサの集積と見なせるので,ポイントセンサ群を用いた場合に発生するセンサの配置問題を回避することができる. (3)スマートセンサによる波動フィルタリング法 分布定数系スマートセンサをある形状関数にシェーピングすることで,所望の波動振幅をフィルタリングする手法を提案した.この場合の形状関数は複素指数関数となるので,形状関数を実部と虚部に分けてシェーピングを行い,虚数単位を90度のフェイズシフタとして,DSPによって実現することを考えた.この場合,ヒルベルト変換器の適用により精度の良い近似を行うことができる.なお,この近似では時間遅れが発生するが,適応フィードフォワード制御の特性に鑑みると,それを補正するような制御が可能であるので特に問題はないと考えられる.
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