研究課題
若手研究(スタートアップ)
細胞増殖が正常に行われるためには、細胞分裂に先立ち染色体DNAが正確に複製される必要がある。大腸菌の染色体複製は、AAA+ファミリーに属するDnaA蛋白によって開始される。ATPと結合したDnaA蛋白(推定20-40分子)は染色体上の複製起点oriC上で高次複合体を形成し、近傍の二重鎖DNAを0本鎖に緩める。DnaA蛋白に結合したATPは複製の進行とともに加水分解される。生じたADP結合型DnaA蛋白はoriC上で高次複合体を形成するものの、二重鎖DNAを緩めることができない。ゆえに複製開始機構を理解するための鍵は、高次複合体中のDnaA蛋白がどのように結合ATP/ADPを認識し、高次複合体の構造変化を導くかにある。典型的なAAA+蛋白質はドーナツ型の複合体を形成し、ドーナツの中空部が活性中心である。そこで本研究では、DnaAがドーナツ型の複合体を形成していると仮定し、中空部に位置すると予想されるアミノ酸残基の変異体解析を行った。あるアミノ酸残基に変異を導入したdnaAプラスミドを温度感受性dnaA46変異株に形質転換すると、依然温度感受性のままであった。この変異DnaAを精製し、試験管内で再構成したoriC二重鎖開裂反応に加えると、二重鎖を開裂できなかった。一方、ATP結合能、DnaA box結合能、oriC北におけるDnaA・oriC高次複合体形成能は保持されていた。ゆえに、このアミノ酸残基はDnaA・oriC高次複合体形成後、二重鎖が開裂するまでの間に必要と示唆される。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Molecular Microbiology 62・5
ページ: 1310-1324
Journal of Structural Biology 156・1
ページ: 220-229