研究課題/領域番号 |
18880008
|
研究種目 |
若手研究(スタートアップ)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
水産学一般
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
北川 貴士 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (50431804)
|
研究期間 (年度) |
2006 – 2007
|
研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
|
配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2007年度: 1,050千円 (直接経費: 1,050千円)
2006年度: 1,050千円 (直接経費: 1,050千円)
|
キーワード | クロマグロ / 卵・仔魚 / 水温 / 輸送・拡散モデル / エネルギーコスト / 黒潮 / 卵・仔稚魚 |
研究概要 |
超高解像度海洋大循環モデルの流動場・水温データを用いて、産卵海域を石垣島南部、琉球列島北部、沖縄本島・南大東島南部、奄美東部に区分して粒子追跡実験を行った。石垣島南部海域の仔魚は、15日目までは産卵海域に滞留するが、その後は30%程度が黒潮に取り込まれ、25日後には日本沿岸に到達した。これは、この海域での産卵が、仔魚期における滞留と、豊富な餌が期待できる日本沿岸への低いエネルギーコストでの輸送を可能にしていることを示している。一方、黒潮流路付近の琉球列島北部海域では、少なくとも産卵後15日には日本沿岸の低水温海域に到達するが、仔魚が経験する水温変化は他の海域と比較して大きく、最大で2.5℃にも達した。この場合には前期仔魚期間を通じて、適水温海域に留まることは難しく、高い生残は期待できない。沖縄本島・南大東島南部海域では、25日齢までに日本沿岸に到達することはなく当該海域に留まる可能性が高い。稚魚に変態する段階で急速な成長を伴うことから、日本沿岸と比較して生物生産性が低い産卵海域に留まると、仔魚にとって高水温による速い成長は期待できるものの、餌不足により稚魚期に成長できなくなる可能性がある。奄美東部海域では、沿岸に輸送される仔魚の割合は沖縄南部での黒潮分枝流の発達程度に依存し、分枝流の流量が少ない場合には産卵場に留まるが、多い場合には約25日で生残に不適な黒潮続流域まで輸送されてしまう可能性が高いことが分かった。以上から、産卵海域でも海域によっては仔魚が輸送過程で経験する水温は大きく異なり、高水温海域に一定期間滞留した後に素早く沿岸へ輸送される可能性の高い石垣島南部海域での産卵が、生残に最適と考えられた。
|