研究課題
若手研究(スタートアップ)
本研究は深海底熱水孔やその海底下をはじめとした、海洋底の極限環境に生息する微生物資源の獲得・生理生態学的研究・応用開発を月的とするものである。2007年度は、深海底熱水孔環境に棲息する化学合成独立栄養細菌(主にε-およびγ-Proteobacteria)に注目し、それらの関わる炭素固定活動および窒素循環の現場定量研究を進めてきた。これまでの研究では、主に全ゲノム解析や複数の研究調査航海を通じてε-Proteobacteriaのエネルギー獲得や炭素固定に関わる鍵遺伝子群を見いだし、その現場発現量を定量してきた。しかしながら代謝基質や代謝産物のフローは高圧条件下で測定することが困難であったため、各鍵遺伝子の発現量と相関する、現場の物質循環を速度論的に理解するには至っていなかった。そこで研究代表者を主席とする研究航海を中部沖縄トラフの探海底熱水活動域において2度実施し、RIと安定同位体ラベル基質を用いて探海底における現場トレーサー実験を行った。本解析により深海底熱水孔優占微生物の活動を、代謝鍵遺伝子の転写量、代謝鍵酵素活性、代謝基質や代謝産物のフローの3側面から定量し、深海底熱水孔環墳における一次生産活動およびそれに伴うCとNの物質循環を時空問的に理解することが初めて可能となった。以上の結果は、複数の学会や国際誌(Proc Natl Acad Sci USA等)、プレスリリース(新聞や一般向け科学雑誌等)等で報告している。
すべて 2008 2007 2006
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)
Links between geological processes, microbial activities and evolution of life (In press)
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