研究課題/領域番号 |
18890002
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研究種目 |
若手研究(スタートアップ)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
富居 一範 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (20431306)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,840千円 (直接経費: 2,840千円)
2007年度: 1,420千円 (直接経費: 1,420千円)
2006年度: 1,420千円 (直接経費: 1,420千円)
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キーワード | 肺高血圧症 / 疾患モデル動物 / HTLV-I / 肺動脈肥厚 / 自己免疫疾患 |
研究概要 |
本研究では、難治性疾患である肺高血圧症の病態生理に密接に関連した病理学的所見として知られる肺動脈肥厚のメカニズムを解明するため、モデル動物を用いて解析した。ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-I)のenv-pX遺伝子を導入したトランスジェニックラット(env-pXラット)では、同週齢の正常ラットに比較して、肺内の中小動脈における血管内膜および中膜の肥厚が認められた。env-pXラットにおける肺動脈肥厚の要因について、env-pX遺伝子を発現するリンパ球が重要であるか、標的組織である肺動脈におけるenv-pX遺伝子の発現が重要であるかを、脾細胞移入実験によって解析したところ、env-pX遺伝子を発現する脾細胞を正常ラットに移入した群において、コントロール群に比べて有意な肺動脈壁の肥厚が認められた。したがって、肺動脈が肥厚するメカニズムにおいては、env-pX遺伝子を発現するリンパ球の存在が発症に必須な因子であることが示唆された。次に、リンパ球と動脈壁の接触には血管内皮細胞が関与していると考えられることから、env-pXラットから血管内皮抗原に反応するリンパ球を抽出して解析した。このリンパ球は、Th1タイプのサイトカイン産生プロフィールを示すCD4陽性Tリンパ球であった。env-pXラットでは、肺動脈局所またはその近傍において、MHCクラスII分子に自己血管内皮抗原を提示した抗原提示細胞にCD4陽性Tリンパ球が結合し、Th1タイプのサイトカインを産生するなどの直接作用や、好中球や好酸球など他の炎症細胞を動員する等の間接作用によって、肺動脈壁の肥厚が誘導されている可能性が考えられた。
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