研究課題/領域番号 |
18890011
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研究種目 |
若手研究(スタートアップ)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
高橋 悟 旭川医科大学, 医学部, 助教 (10431404)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,640千円 (直接経費: 2,640千円)
2007年度: 1,320千円 (直接経費: 1,320千円)
2006年度: 1,320千円 (直接経費: 1,320千円)
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キーワード | 脳形成異常 / 神経細胞移動 / ノックアウトマウス / cyclin-dependent kinase 5 / 神経変性 / けいれん / てんかん / 炎症 / Cyclin-dependent kinase 5 |
研究概要 |
【緒言】我々は、神経細胞の遊走に必須の分子であるcyclin-dependent kinase5(Cdk5)の中枢神経系発達における役割について研究を行ってきた。Cdk5-/-マウスの大脳皮質では、本来の6層構造が逆転した異常構造がられるのみならず、小脳・脳幹部の神経細胞移動も障害され、マウスは胎生後期に死亡する。本研究の目的は、脳形成異常が発達期の脳へ与える影響を明らかにすることである。 【方法と結果】前脳特異的Cdk5コンディショナルノックアウトマウスCdkみ5cKOマウスは、Cdk5loxP/loxPマウスとCaMKII-cre transgenicマウスを交配することにより作出した。(1)Creリコンビネースによる標的遺伝子の組み換えは胎生12.5日以降に前脳特異的に起きた。(2)Cdk5cKOマウスの前脳では、Cdk5の発現量およびその酵素活性は、対照群の20-50%まで低下していた。(3)Cdk5cKOマウスの60-70%は、離乳後1週間以内に早期死亡した。残りの30-40%のマウスは、生後2ケ月以降にけいれん発作を起こし死亡した。(4)神経病理所見:大脳皮質には層構造の異常がみられ、けいれん発作の出現に伴い、神経細胞の脱落とアストロサイトの増生およびマイクログリアの活性化が観察された。(5)マイクログリアの活性化は、tumor necrosis factor-alpha(TNF-α)の産生を引き起こし、神経毒性を有する活性酸素を産生するcyclooxygenase-2(COX-2)の発現増加に関与していた。 【考察】神経細胞遊走障害は、大脳皮質層構造の異常を引き起こし、けいれん発作の原因となる。けいれん発作を繰り返すマウス脳では、マイクログリアの活性化と、TNF-αやCOX-2といった炎症関連分子の発現増加がみられた。神経細胞死を誘導するこれらの炎症関連分子の増加が、てんかん患者にしばしばみられる進行性の認知機能障害の病態に関与している可能性がある。さらに、炎症関連分子を標的とした治療法開発は、難治性てんかんを有する患者の神経学的予後改善に資する可能性がある。
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