研究概要 |
本年度はジアミン誘導体とブロモアセチレンとの分子間カップリング反応によるイミダゾリジン誘導体の効率的な合成法の開拓および適用性の拡大を検討し,以下の結果が得られた.1)種々のジアミン誘導体とブロモプロピオール酸アミドをDMF溶媒中,塩基と加熱するだけで,様々なイミダゾリジン誘導体を得ることができた.2)本反応の進行の可否には,ジアミン上の保護基の選別が非常に重要であり,トシルアミドよりもNHプロトンの酸性度が低くても高くても,ダブル付加によるヘテロ環の生成はほとんど起こらないことが分かった.3)カップリングパートナーとして,ブロモプロピオール酸エステルを用いても,ブロモプロピオール酸アミドの時と同様に分子間カップリング反応が進行し,対応するエステル置換イミダゾリジン誘導体を得ることもできた.また,得られたエステル誘導体にDIBALを作用させると,収率良くアリルアルコール誘導体に導くこともできた.4)エチレンジアミンの片方のアミンをトシル基,もう一方をBoc基で保護したジアミン誘導体とブロモプロピオール酸アミドを,塩基と加熱反応させたところ,非対称のイミダゾリジン誘導体を単一の異性体として得ることができた.5)トシル基をアミノ基上に導入したアミノアルコール誘導体と,ブロモプロピオール酸アミドを塩基存在下で反応させたところ,二重結合の置換基の立体化学が制御されたオキサゾリジン誘導体を単一の異性体として得ることができた.
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