研究課題
若手研究(スタートアップ)
クライオバイオプシー法(Cb)、生体内凍結技法(IVCT)および従来の方法(浸漬化学固定-脱水法、切除組織-急速凍結法)を異なるヒト肺癌由来の腫瘍細胞株(Lu65、Lu99、A549)によるヌードマウス腫瘍細胞移植モデルに応用し、HE染色もしくは血管内皮細胞マーカーであるvon Willebrand Factorに対する免疫染色を用いて、比較検討を行った。その結果、以前のEBC-1細胞株で得られた結果と同様に全てのモデル腫瘍において、CbおよびIVCTによって腫瘍細胞組織形態および生きた血行動態下の開存した腫瘍血管が明瞭に観察されることがわかった。また、CbおよびIVCTにより作製された腫瘍組織試料においてアルブミンおよび免疫グロブリンなどの血清蛋白に対する免疫染色を行った結果、それらの蛋白の分布を明瞭に可視化できた。生体内腫瘍組織ではアルブミンやIgGなどの比較的分子量の小さい蛋白は腫瘍間質に広く分布するが、IgMなどの大きな分子量をもつ血清蛋白は血管内に限局して分布することがわかった。CbおよびIVCTにより作製した試料中におけるこのIgMの分布を、尾静脈から注射したウシ血清アルブミン(BSA)の免疫染色像との比較を行った結果、IgMは血管の中でも特に、血流を伴う「機能的血管」に限局して分布することが示された。またBSA注射後に異なる時間が経過後にIVCTにより試料作製を行い、BSAの分布を経時的に検討することで、血管からの血清蛋白の漏出速度が腫瘍内、特に表層部被膜と腫瘍塊深部では大きく異なることを示した。以前から病理組織学的に用いられてきた血管内皮細胞免疫染色による「構造的血管」の評価に対して、CbおよびIVCTとIgM免疫染色では血流を伴う「機能的血管」が可視化できることに注目し、組織切片上でそれらの血管の容積を定量化し、VEGF免疫染色による腫瘍組織内の局所的虚血変化と比較したところ、機能的血管の容積は有意に腫瘍組織の虚血変化と相関することを見出した。これらの結果の一部は現在、複数の原著論文として欧文誌に投稿中である。
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