研究概要 |
本年度は,昨年度に引き続き,実施計画に沿った調査研究活動を行い,それに伴う以下のような知見・成果を得た。 今までに医療者と協力しながら同病者を支援してきた経験のあるオストメイト5名に対し,「同病者を支援するにあたり学んできたこと」,「最低限備えておいたほうが良い資質」,「同病者支援の体験談」,「困難・問題と感じたこと」半構成的面接調査を行い,内容分析を行った結果,患者ボランティア(ピア・サポーター)育成のためのプログラムに組み込むべき内容として,「基本的な医学知識・最近の治療などの医学面」,「患者の疾患受容などの患者の心理プロセス」,「傾聴を中心とするカウンセリング技術」,「接遇の技術」,「ピア・サポートの意義や効果」,「社会保障制度などの福祉面」,「医療者とピア・サポーターの役割の明確化」,「ピア・サポーターの心得・責任」が挙げられた。また,同病者を支援する患者と協働している医療者への面接からは,上記に加え,「ピア・サポーターからの患者支援内容のフィードバック」,「情報交換」が,協働の鍵となることが示された。 また,昨年来,月に一度,院内で開催される自主グループ活動へ参加し,対応の難しかったケース,あるいは連携のできたケース(医療者が行うサービスへ繋がったケース,または医療者から自主グループ活動へ繋がったケース)などについて,患者ボランティア,実践家と共に事例検討を行う中で,疾患を受け入れられず治療に専念できない患者を医療者から自主グループへ紹介,同病者の支援により,治療に前向きなれたケースがみられ,医療者と患者ボランティア(ピア・サポーター)が,うまく協働できた具体的な事例も経験でき,その重要性が再認識されると同時に,具体的活動方法についても示唆を得ることができた。 今後の課題は,統計結果から明らかになった医療者と協働しながら同病者を支援しているオストメイトの特徴を考慮した患者ボランティア(ピア・サポーター)の選定や,さらに,上記結果を盛り込んだ育成プログラムを試み,その評価を行っていくことである。
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