研究課題
若手研究(スタートアップ)
私たちは2001年に心筋と骨格筋特異的蛋白質ARPPを単離した。ARPPは333アミノ酸から成り中央に4つのアンキリンリピートを持っている。私たちはこれまでの発現解析よりARPPはサルコメア構造のZdiscに局在すること、除神経後の萎縮骨格筋で発現誘導されること、種々の神経筋疾患で異常発現することを発見し報告してきた。これらの知見より私たちは「ARPPが傷害筋において何らかの役割を果たす」という仮説を立てた。この仮説を検証するために私たちはまず、ヘビ毒(Cardiotoxin)による傷害筋におけるARPPの発現を調べた。その結果、ARPPは定常状態では主に細胞質に局在するのに対し、傷害後、核に強く蓄積されることを発見した。興味深いことに、ARPPが核に局在する筋線維ではサルコメア構造が崩壊していることを発見した。さらに、ARPPは核内において転写と関わりのあるユークロマチン領域に局在していた。これらの結果より、ARPPはサルコメア構造に傷害を受けた筋線維において、核へ移行し、転写調節因子として機能することが示唆された(Tsukamoto, et. al.,2008, Histochem Cell Biol)。続いてARPPの転写調節因子としての機能を明らかにするために、ARPPノックアウトマウスと野生型マウスのヒラメ筋(n=3)よりRNAを回収し、Expression microarray(アジレント社)を行った。その結果、大きく発現変動する遺伝子はスクリーニングされなかったが、有意な発現差を示す遺伝子が数個スクリーニングされた。現在、これらの遺伝子がARPPにより発現調節されているか否か検討中である。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件)
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