わが国の出生傾向は年々低下しており、少子化・核家族化・コミュニティーの変化により地域のつながりの希薄化がおきている。母親の中には自分が育児をするまで子どもとの接触体験が乏しいまま育児を開始し、過剰な育児情報に戸惑う様子もみられる。近年では、児童虐待が社会問題となり、産後早期から虐待リスクを把握し、母親の心の問題を解決できるように支援していくことが望ましく、産褥早期にかかわる看護者の役割が重要視されてきている。育児をしている母親の心理において否定的な感情だけではなく、肯定的な感情について影響を与えるものがなにか知ることで、育児生活をより肯定的にうけとめる支援方法に導くことができるのではないかと思われ、本研究では、産後1ケ月の母親の子どもの愛着と育児生活における肯定感情との関連について明らかにすることを研究目的とした。調査の結果、子どもの愛着と育児生活における肯定感情とは正の相関がみられた。また、子どもへの愛着得点においては、初産婦と経産婦では、経産婦において有意に低得点であった。 子どもの愛着に影響する背景としては、初産婦の場合、「母親の年齢」「親としての自信」が関連しており、経産婦の場合、「妊娠の計画性」「父親の年齢」「母親の年齢」「分娩満足度」「親としての自信」「自己肯定感」が関連していることが明らかになった。そのため、高齢初産の場合は、特に産後の身体回復状況を十分観察し、子どもへ目を向けることができるようにサポート体制の整備をすることが必要であることが明らかになった。また、経産婦の場合は、妊娠の計画性が愛着に高い関連を示していることから、1人目出産後の受胎調節は重要であり、さらに分娩に満足できるような関わりが必要であることが明らかになった。
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