研究課題/領域番号 |
18890179
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研究種目 |
若手研究(スタートアップ)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
補綴理工系歯学
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
古屋 純一 岩手医科大学, 歯学部, 助教 (10419715)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,680千円 (直接経費: 2,680千円)
2007年度: 1,340千円 (直接経費: 1,340千円)
2006年度: 1,340千円 (直接経費: 1,340千円)
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キーワード | 摂食・嚥下 / 舌 / 口蓋 / 補綴装置 / ディコンディショニング / 要介護高齢者 |
研究概要 |
本年度は、昨年度の研究を発展させ、嚥下口腔期および咽頭期の統合的機能評価システムの確立を目指した。健常有歯顎者5名に対し、舌骨上筋群筋電図、口蓋に対する舌圧測定、嚥下ビデオ内視鏡を同時測定し、口腔期の舌機能と咽頭期嚥下が一連の嚥下運動の中でどのような関連を有しているかを検討した。舌骨上筋群の筋活動開始が早期に生じ、ついで口蓋前方から後方へ向かって舌接触が開始した。食塊の口蓋弓通過とホワイトアウトは、後方部の舌接触開始や最大舌圧発現近辺で観察され、舌接触終了後に喉頭蓋の安静位復位が観察された。ホワイトアウトの持続時間や食塊流入のタイミングなどが食塊量による影響を受けていたが、これらはある一定の時系列上の関係を有することが明らかになった。以上より、これまで困難であった嚥下口腔期と咽頭期の機能を統合的に評価することが可能になったと考えられた。 これらのシステムを用いて、口腔および咽頭の統合的機能と補綴装置との関連を明らかにするために、健常有歯顎者5名に口蓋を被覆する実験用義歯を装着し、実験用義歯装着後の嚥下機能の経時的変化を検討した。その結果、実験用義歯装着によって嚥下所要時間は一時的に延長するが、口蓋の被覆への順化が生じるにつれ、その影響は経時的に軽減し、7日後程度で消失することが明らかになった。また、口蓋の被覆は、随意運動が生じる嚥下口腔期と考えられる口蓋前方部における舌接触開始から口蓋後方部における最大舌圧発現までの時間に、影響を大きく与える一方、嚥下咽頭期には、口蓋の被覆に対する順化による有意な影響は認められなかった。これらの傾向は、液体、ゼリー、ペーストなど食品性状が変化しても一定であり、7日後程度で口蓋の被覆による影響は軽減された。以上より、補綴装置による口蓋の被覆は、一時的に嚥下機能に影響を与えるが、経時的にその影響は軽減されることが明らかになった。
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