研究実績の概要 |
Yao氏と行なった本共同研究では、Yao氏が独自に開拓したSpray型LbL法を活用し、EC-MOF薄膜の上に更にMOFを積層させる多層積層型MOFケミレジスタ型ガスセンサを開発を行った。1年目の研究では、ケミレジスタ型ガスセンサの設計・組み立て、及び新規なEC-MOFの開拓を行った。従来、高伝導性が報告されてきた二次元シート構造のEC-MOFの系では、その合成の難しさのために、単一の配位子を用いた系しか報告がなくそのバリエーションに乏しかった。Yao氏は、混合配位子型とすることで、この系の物性のより幅広いチューニングが可能とすることに世界で初めて成功した。またケムレジスタ型ガスセンサシステムを作成し、新規EC-MOFが実際にケミレジスタ型ガスセンサとして高い特性を有することを確認した(Angew.Chem.Int. Ed. 59, 172-176, 2020) 2年目の研究においては、EC-MOF薄膜の上に更にMOFを積層させる多層積層型MOFケミレジスタ型ガスセンサを開発を行った。EC-MOFをケムレジスタにおける活物質として使用することを考えたとき、その空隙率、柔軟性、導電性をバランスよく確保した上で、ガス・蒸気を選択的に吸着する絶縁性MOF(iMOF)との適切な組み合わせを探すことが重要となる。こうした材料設計をもとにEC-MOF/iMOF積層薄膜やiMOF/EC-MOF/iMOF積層薄膜の開発を行った。興味深いことに、実際にEC-MOF単体よりこうした積層状態にすることでガス・蒸気に対するセンサー応答性(電気抵抗応答)や選択性が大幅に向上する組み合わせがあることが判明した(J. Mater. Chem. A, 2020,8, 9085-9090/他二報 投稿準備中)。
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