研究実績の概要 |
細孔中に導入する実験の実験計画を詳細に設計するとともに,比較・対照の基準とするために,持参した4試料について詳細な示差走査熱量測定を行った.通常の結晶化(冷却過程での結晶化)および冷結晶化(加熱過程での結晶化)の加熱速度依存性を解析している.このうちの4-(2,3-difluoro)-pentylphenyl- trans-4-(2,3-difluoro)-pentylcyclohexylbenzoate (試料II)の結晶化については,ある冷却速度を境に結晶成長メカニズムが熱力学支配から分子動力学支配へと変化することを見出した.近日中に論文として公表予定である.ガラスの加熱時に生じる結晶化(冷結晶化)についても解析を終了しており,結晶化とは別の論文として公表を予定している. 4”-(4-pentyloxyphenyl)-4-ethoxy-2,2’,3,3’-tetrafluorotolaneについては細孔中に導入した場合の基礎データとして,2ヶ月以上をかけて断熱法熱容量測定を行い,安定相,準安定相,液体急冷ガラスについて高精度・確度の熱容量測定結果から,ギブズエネルギーなどの熱力学諸量を決定して,相関係を明らかにした. 上記と並行して多孔性シリカ(MCM-41 およびSBA-15)に導入した試料IIについて結晶化挙動について実験を開始し,冷結晶化挙動がバルク状態とは異なることを見出した.
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